なぜ、米IBMは経営危機に陥ったのだろうか・・・?!
かつて、同社の元CEOであるルー・ガースナー氏の「巨像も踊る」を読んだ。
同氏は、著書のなかで次のように述べていた。
・やるべきことを決めるのは、すべて市場だ。
・問題を解決し、同僚を助けるために働く人材を求める。
社内政治を弄する幹部は解雇する。
・自分は戦略の策定に全力を尽くす。
・組織階層は意味をもたない。会議には、問題解決に役立つ人材を集める。
・技術用語をビジネスの言葉に置き換えることが大切だ。
・速く動く。
上記は、IBMの社内改革のポイントである。
だが、IBMが経営危機に陥った理由は説明されていなかった。
数週間前になるが、「BIF-3」カンファレンスにおいて、
元IBM幹部であるIrving Wladawsky-Berger氏は、
IBMの経営危機、そして、その後の復活について説明している。
「I know that IBM's insular, proprietary culture
had to be ditched before we were able to move ahead into the future」.
つまり、「IBMが、未来に向けて前進するために、
プロプリエタリーな企業文化を捨てなければならなかった」と。
IBMは、市場におけるリーダーとして、IBM PCを創っただけではなく、自分たちのIBMリサーチの中で、RISCプロセッサ(POWER)とリレーショナル・データベースというオープン技術を発明していた(彼らは技術的にはオープンを包含していた)。しかし、IBMのビジネスモデルは、メインフレームおよびそれらに関連したサービスから多くの利益を得ていた。そして、IBMは経営危機(near-death experience)に陥ってしまった(動きたくとも、動けない理由がそこに存在していた・・・・最大の敵は"外"ではなく、"内"に存在していた)。
一部の優秀なエンジニアやマネジャーなどが、IBMを去って新たな事業創りに取り組んだ。
そこは、まさに実力社会・・・・このような雰囲気のもとでシリコンバレーは成長していったと思われる。
ところが、Irving氏によると、このIBMの経営危機こそが、まさにIBM復活、また、IBMのイノベーションの本質的な部分であったと語っている。
この臨死体験(「near-death experience」)が存在したことが、その後のIBM復活につながっていったという。
同氏は、ギリシャ神話に例えて説明している。
「The hero need not die at the end, but he/she must undergo a change in fortune. In addition, the tragic hero may achieve some revelation or recognition about human fate, destiny, and the will of the gods」.
つまり、継続したビジネス成功を導くためには、
上手く運んでいる時にこそ、自分自身に爆弾を打ち込むこと、
すなわち、自己否定ができるのか否かが大きな鍵を握る。
どんな英雄であろうとも、必ずや未来において変化を求められる。
「ローマは何で滅んだのか」・・・・、しかし、IBMは臨死体験から復活した・・・・。
そして、いまのIBMは「過去のIBM」ではないはず・・・・?!
現在、LinuxとODFのビジネス・モデルに与えたインパクトについて、Microsoftはビジネス課題に直面するだろう・・・と述べている。イノベーション実践は、とても難しいことが理解される。百聞は意見に如かず、下記より動画がアクセス可能です。
*「BIF-3(Quick time)」:
http://www.businessinnovationfactory.com/innovationstorystudio/assets/video/bif3_iwberger.mov
2007年11月2日金曜日
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